資産運用を考えている人の中にはまだまだ経済成長が見込まれる、
「ベトナム」への投資を検討している人は多いですよね。
ベトナムの株式市場は魅力的だが投資すべき?投資手法も含めてお伝えする。
ベトナムなど新興国への投資を考えるのであれば、
会社員の方であればまずはお手軽で少額から投資が開始できる投資信託が思い浮かびますよね。
ベトナムと言えば、東南アジアの成長株として注目の新興国です。
ベトナムの国自体については以下の記事で論じています。
また代表的なベトナム投資信託や、
ベトナムの市場平均に連動することを目的として組成されたETFの問題点について言及していきました。
今回も、投資信託を購入する場合、つまり企業の運用の「プロ」に任せる場合は、
どのくらいのリターンが実際に見込まれるのでしょうか?
この記事ではその投資信託でベトナム株を組み入れている「CAMベトナムファンド」の運用状況と、今後の見通しを解説していきたいと思います。
CAMベトナムファンド – 概要と運用方針 –
CAMベトナムファンドは海外アジアエマージングの株式を運用するファミリーファンドです。
CAMベトナムファンドの方針は交付目論見書より引用します。
成長性の高いベトナム株式への投資
ベトナムの全人口は約9,300万人、旺盛な消費を生み出します。
また、毎年約150万人が社会に出ており、安価で勤勉な労働力は国際競争力の源ともなります。
当ファンドは、ベトナムの取引所に上場する株式、ベトナムの取引所に準ずる市場において取引されている株式、ならびに世界各国・地域の取引所に上場しているベトナム関連企業の株式に投資します。
(引用:交付目論見書)
ベトナム取引所の上場企業、ベトナム取引所に準ずる市場における株式、
そして世界各国地域取引所のベトナム関連企業銘柄に投資し運用していく方針ですね。
CAMベトナムファンドは「ファミリーファンド」とされていますが、
具体的なファンドの仕組みは以下のようになっています。
シンプルに投資家は販売会社を通してCAMベトナムファンドを購入し、
その先のマザーファンドがベトナム株・ベトナム関連企業で運用をするということですね。
以下は運用プロセスとなります。
トップダウン・ボトムアップ分析を経てポートフォリオ構築を行います。
運用会社は「キャピタル アセットマネジメント株式会社」となっています。
資産状況・保有銘柄を見ていきましょう。
CAMベトナムファンドも少し前までベトナム国内時価総額1位の「ベトナム乳業(ビナミルク)」が高い比率となっていました。
しかし、現時点では構成比率で7くらいとなり全体的に不動産株と銀行株の比率が大きくなっています。
ビナミルクも優良企業であることは間違いないのですが、同社のPERはすでに25.6倍となっており割高感からポーションが落ちたと想定されます。
一方、不動産セクターや銀行セクターの構成比率が上昇しています。
2位の比率を誇る銀行業は消費者向けの保険の窓口販売による収入が増加傾向となり業績が上向くとの見通しから銀行セクターを増やしたことが起因しています。
では、CAMベトナムファンドの実際の運用状況はどうなっているのでしょうか。
以下ではその点を見ていきます。
CAMベトナムファンド の運用成績・パフォーマンス
CAMベトナムファンドにはベンチマークはありませんので基準価額とトータルリターンから運用成績を見ていきましょう。
まずは基準価額です。
基準価額とはどのようなものか正確に思い出せない人は以下の解説記事を参考にしてみてくださいね。
投資初心者必見・投資信託の基準価額を徹底解説 買い時はいつか?
以下はCAMベトナムファンドの基準価額の過去推移です。
2010年8月26に設定して以来、9,888円で開始した基準価額は2019年9月末時点で17,245円となっています。
優秀な運用成績+ベトナム経済が加速していることも要因として大きいと言えますね。
この点はベトナム株式ファンド、ベトナム成長株インカムファンドと同様です。
また、以下はCAMベトナムファンドのトータルリターンです。(一番上の項目)
直近のトータルリターンは17.19%と非常に好調な結果を出しています。
3年スパンでみても年率平均13.98%、5年で12.69%と運用もさることながらさすがベトナムの経済成長力ですね。
CAMベトナムファンドだけをみても正確に評価できませんので他ベトナム株投資信託とも比較をしてみましょう。
他のベトナム株投資信託との比較
以下ではベトナム株式ファンドとベトナム成長株インカムファンドと比較しています。
トータルリターンと標準偏差をみていきましょう。
トータルリターンの良し悪しを判定するには、基本的には3年(年率)を比較したいところですが、
やはりそれぞれ高い利回りを誇っていることがわかります。
上記3銘柄の内、3年の利回りがCAMベトナムファンドは2位となっています。
他2銘柄と運用利回りの実績数値は遜色はなく、直近1年に関して全て米中貿易摩擦の影響もありマイナス成績となっています。
標準偏差は上記3銘柄の中では最も低く、運用は安定しているところは安心材料ですよね。
標準偏差とは、投資の世界では「リスク」として認識され、価格変動のブレ幅ということを意味します。
CAMベトナムファンドは上記ベトナム投資信託の中では最もリスクがないと言えるでしょう。
CAMベトナムファンドの高い手数料
最後にCAMベトナムファンドの手数料を確認しておきましょう。
CAMベトナムファンドの購入手数料は3.24%(税抜3.0%)となります。
信託報酬は年率で2.5704%(税抜2.38%)となり非常に高い水準です。
中国株投資信託やインド株投資信託なども信託報酬を見てきましたが最も高い水準にあると言えるでしょう。
ベトナム取引所の上場企業、ベトナム取引所に準ずる市場における株式、
そして世界各国地域取引所のベトナム関連企業銘柄に投資と広い範囲で投資対象を見ているからこそ調査費用や人件費が高くなる傾向にあるのでしょう。
一般的なアクティブ型の日本国内投資信託(年率1.53%)よりもはるかに高い水準にありますね。
CAMベトナムファンドは運用成績が良好ですが、もし運用成績がよくなければ納得のいかない信託報酬設定ですよね。
CAMベトナムファンドのまとめ
CAMベトナムファンドは株価上昇が期待されるベトナム株を厳選して、
綿密な調査の上、マザーファンドを通じて投資運用するベトナム株の「プロ」として、
現状は高いリターンを実現しています。
ベトナム株と言えば、外国人投資規制により外国人が取引できない銘柄が多く存在する中で、
高いリターンを実現しているのは優秀と言えます。
手数料は非常に高い点が気になるくらいですね。
実際にはベトナム株式市場自体が既に「過熱気味」であり、
PBRを分析しても各銘柄が割高水準であるということは、
留意した上で投資の有無を考えられた方がよいでしょう。
ベトナムと同等の成長率が期待でき、尚且つ割安な株式市場であり、
高いリターンを求めることができる投資先を探しているのであれば、
私が独自で作成しているおすすめ投資先ランキング記事などを参考にしてみてください