スリランカの治安って大丈夫?女性が一人旅しても安全に過ごせる?
初めてスリランカを訪れる学生さんや社会人の女性にとって、現地の治安や安全性はとても気になりますよね。
実は2024年、イギリスの旅行メディア「Time Out」が「女性の一人旅に最適な旅行先ランキング」でスリランカを世界第1位に選出しました。
それほどまでに魅力的で「女性に優しい」と評価されたスリランカですが、一方で政治デモや経済混乱のニュース、さらには性被害の体験談などを目にすると「本当に安全なの?」と不安になるのも当然です。
そこで本記事では、スリランカを旅行する方に向けた治安に関する最新の情報を網羅してお届けします!
現在の治安情勢から、女性旅行者が気を付けるべきポイント、安全対策のコツまで、公式データや各国の情報源を交えながら分かりやすく解説します。
親日的で美しい南アジアの島国スリランカを安心して思い切り楽しむために役立つ知識が満載です。それでは早速見ていきましょう。
スリランカの治安の現状【2025年最新】
全土の危険度レベルは「1」:基本的には安定
スリランカは基本的に治安の安定した国であり、大規模な凶悪犯罪が日常的に起きるわけではありません。
他のアジア諸国と比べても比較的安全で、人々も穏やかとも言われます。
実際、日本の外務省が発出する海外渡航危険情報でも、スリランカ全土が最も低い危険度レベル1(十分注意してください)とされています(※レベル4が最も危険)。
これは渡航禁止などは特に必要なく、「通常より注意して行動すればOK」という位置付けです。
しかし、安全レベル1とはいえ油断は禁物。
2022年には経済危機に端を発した政情不安があり、燃料や生活必需品の不足に怒った市民による大規模な抗議デモが各地で頻発しました。
政府施設前でデモ隊と治安部隊が衝突するケースもあり、当時は非常に緊迫した状況でした。
その後、経済情勢の改善とともに2023年以降はデモも沈静化し、現在では散発的な小規模抗議が時折ある程度まで落ち着いています。
とはいえデモや集会には近づかないなど最新の治安情報チェックは欠かさず行いましょう。
もう一つ記憶に留めておきたい出来事として、2019年4月に発生した同時多発爆破テロ事件があります。
コロンボなど主要都市の教会や高級ホテルが狙われ、外国人を含む多数の死傷者が出ました。
この事件後、スリランカ当局は大規模なテロ捜査と警備強化を行い、それ以降は大きなテロは起きていません。
ただし一度起きた事実は重く、観光客として宗教施設や人混みでは常に注意を払うことが大切です。
犯罪発生状況:凶悪犯罪は少ないが軽犯罪に注意
スリランカでは殺人や強盗といった凶悪犯罪の発生率は低めです。
例えば「殺人発生率」で見ると、スリランカは 約3.4件/10万人(2019年) と推計されています。
日本の約0.3件/10万人(2013年)よりは高いものの世界平均から見ればかなり抑えられています。
また世界平和度指数(GPI)でも2023年はスリランカが163か国中89位と中位につけ、日本(10位)よりは下ですが決して極端に危険な国ではありません。
総じて「普段から平和だが、用心は必要」というのが現地の治安の評価です。
一方で見逃せないのが、観光客を狙ったスリ(ひったくりやスリ)、置き引き、詐欺などの軽犯罪です。
都市部や観光地ではこれら一般犯罪が頻発しており、特に外国人旅行者がターゲットにされがちだと報告されています。
例えば人混みでバッグから財布を抜き取られたり、ホテルの部屋で貴重品を置き引きされたりという被害例があります。
また三輪タクシー(トゥクトゥク)も要注意。観光客だと分かると法外な運賃を要求されたり、お店に無理やり連れて行かれる「ぼったくり」被害が報告されています。後述しますが、乗車前に料金交渉をするか配車アプリを利用し、むやみに信用しないことが大切です。
さらに宝石店や自称ガイドによる詐欺もあります。街角で「観光案内するよ」「安い宝石がある」と親切そうに話しかけ、付いて行くと高額な物を買わされたりチップをせがまれるケースです。「親切な笑顔が全て善意とは限らない」
のが旅行の鉄則。特に異常にフレンドリーに近づいてくる人には警戒心を持ちましょう。
現地当局もこうした犯罪には注意を呼びかけています。日本外務省も最新の安全情報で「スリ、置き引き、詐欺、ぼったくり(トゥクトゥクや観光ガイド、宝石店等)などの犯罪が発生しており、特に外国人が標的にされている」と注意喚起しています。
また違法薬物の売買も厳しく取り締まられているので、興味本位で関わらないようにしましょう。
内戦の名残:地雷や宗教対立に注意
スリランカは2009年に長年続いた内戦が終結しましたが、北部州や東部州の一部地域では今なお地雷の危険が残っています。
観光客が通常訪れるエリアからは外れていますが、例えば遺跡巡りで北中部の古都を訪れる際など、立入禁止区域や警告看板には絶対に従うようにしましょう。
知らずに危険地域へ踏み込まないためにも、地元ガイドや当局の指示に従い、安全なルートだけを通行してください。
また多民族・多宗教国家であるスリランカでは、過去に宗教間の緊張が高まったこともありました。
2019年のテロ事件後、一部地域でイスラム教徒の施設が襲撃され緊急事態宣言が出た例があります。
そのほか政府の政策(イスラム教女性のブルカ禁止案や、新型コロナ犠牲者の火葬方針など)を巡って宗教間の対立が生じたこともありました。
現在は落ち着いていますが、宗教的なセンシティブな話題には触れない、礼拝所では謙虚な態度をとる、といった配慮も安全に旅するポイントです。
女性旅行者が注意すべきポイント
続いて、特に女性の旅行者目線で気を付けたいポイントを具体的に見ていきましょう。
スリランカは女性が旅行しやすい国とは言われるものの、日本とは異なる文化・治安上のリスクもあります。
ここでは女性が遭遇しやすいトラブル事例や対策を、ケースごとに解説します。
観光客狙いの軽犯罪(スリ・ぼったくり)
女性に限らず観光客全般に言えることですが、貴重品の管理には細心の注意を払いましょう。
繁華街やマーケットではバッグは必ず前に抱え、スマホを手に持ったまま歩くのは避けてください。実は日中の混雑している場所ほどスリ被害が多い傾向があります。
バッグから目を離さない、人込みではリュックではなくショルダーバッグを持つなど工夫しましょう。
トゥクトゥクやタクシーでは料金トラブルが起きやすいです。乗車前に「いくら?」と必ず確認し、交渉してから乗りましょう。
相手がおつりを持っていないと言ってくる場合もあるので、小額紙幣を用意しておくと安心です。
また、観光客と分かると意図的に遠回りされたり、高額紙幣を渡したらおつりをごまかされたりする例もあります。
スリランカへ旅行するのであればタクシーチャーターを使うのがおすすめです。
タクシーチャーターを日本から手配をすれば安全にかつ効率的に観光地をDoor to Doorで巡ることができます。
以下でおすすめのタクシーチャーター会社をランキング形式でお伝えしますので参考にしていただければと思います。
女性への声かけ・視線
スリランカでは外国人、特に女性に対する視線や話しかけが日本よりはるかに多くあります。
街を歩いていると見知らぬ男性から笑顔で「ハロー」「どこから来たの?」と声をかけられるのは日常茶飯事です。
これはある意味で親しみやすさの表れでもあり、好意的な場合も多いです。実際、スリランカの人々は総じて親切でフレンドリーです。
しかし、中には下心や金目当てで近づいてくる人もいます。
例えば「日本人?キレイだね!」などと言いながらしつこくつきまとわれたり、写真を一緒に撮ろうと迫られるケースも報告されています。
「ちょっとくらいなら…」と安易に応じず、嫌なときはきっぱりNOと断る勇気を持ってください。
ニコニコ笑っていると付け込まれる恐れがあります。
特に日本人を含む東アジア系の女性は大人しく控えめだと思われがちで、強く拒まない限りずっと付きまとわれることもあります。
また、ローカルな地域や下町エリアではじろじろ見られる頻度も高いです。
これは単に珍しいから興味本位で見ている場合もありますが、やはり不快に感じるほど見つめられる場面もあるでしょう。
そんなときはサングラスをかける、さっとその場を離れるなど対処しましょう。
視線を感じるストレスは、人によっては想像以上に堪えるので無理せず休憩することも大切です。
セクシャルハラスメント・性犯罪
女性旅行者にとって最も注意したいのが、性的嫌がらせや性犯罪のリスクです。
スリランカでは近年、外国人女性を狙った性的暴行事件も報告されています。
例えば観光客が利用するホテルやレストランで、従業員や知り合った現地男性から性的暴行を受けたり、人気のない場所へ連れ込まれて金品を脅し取られるというケースです。日本の外務省も「性犯罪および性的嫌がらせは被害者の国籍や場所・時間を問わず発生している」として常に注意を呼びかけています。
具体的によくあるのが公共交通機関内での痴漢です。
地元のバスや鉄道は非常に混雑することがあり、その隙を狙って体を触ってくる輩がいます。
お尻や胸に手を当てられたり、密着されたりといった被害報告があります。もし触られたら大きな声で拒否し、周囲の人に助けを求めましょう。
恥ずかしがる必要はありません。スリランカでは女性の痴漢被害は決して珍しくなく、周囲も察知すれば協力してくれるはずです。混雑時にかかわらず、ガラガラの車内で隣にぴったり座ってくる不審者にも注意してください。
トゥクトゥク利用時の性被害も残念ながら報告されています。特に女性客を乗せた際にわざと人気のない脇道に連れ込まれ、体を触られるという悪質な例です。
実際に2024年には、日本人女性が昼間に配車アプリで呼んだトゥクトゥクでドライバーから太ももを触られ、怖い思いをしたという体験談もありました。
「配車アプリ=安全」と思い込まず、少しでも不審な動きをされたら即座に降車する勇気を持ちましょう。
リスクを回避したい方はさきほどお伝えしたようなタクシーチャーターサービスを利用するのがおすすめです。
筆者はスリランカタクシーサービスを利用して快適に安全にスリランカ旅行を楽しむことができました。
さらに気を付けたいのは宿泊先や店員からの被害です。
特にお客が自分一人しかいないような小さなゲストハウスや閑散とした飲食店で、従業員の男性に身体を触られたという事例もあります。
なるべく女性スタッフがいる宿を選ぶ、夜遅くに一人でバーに残らない、といった自衛策をとりましょう。
宿泊先の部屋にも内鍵やドアストッパーを使い、用心するに越したことはありません。
夜間の外出と移動手段
スリランカでは夜の時間帯は男女問わず事件に巻き込まれるリスクが高まると言われます。
照明の少ない通りや人通りのない場所では、ひったくりや強盗だけでなく、女性へのいやがらせも起きやすくなります。
一人旅の場合、夜間の外出は極力控えるのが賢明です。どうしても出かける必要がある場合も、信頼できるガイドや現地の友人と一緒に行動するようにしてください。
また移動はできれば自家用車チャーターやタクシーを使い、徒歩移動は短距離に留めましょう。
仮にクラブやナイトスポットに出かける場合でも、深夜は必ず送迎サービスを利用します。路上で客引きしているトゥクトゥクには乗らないほうが無難です。
お酒を飲む場面でも、知らない男性グループに誘われてもホイホイついて行かないよう注意しましょう。
自分の飲み物から目を離さず、他人から勧められた飲み物は口にしないことも重要です(薬物を仕込まれる危険があります)。
宗教・文化と服装マナー
スリランカは仏教国を中心にヒンドゥー教やイスラム教も混在する文化的に多様な国です。
そのため女性の服装や振る舞いに関する価値観も日本とは異なります。観光客に対して寛容ではありますが、特に地方や寺院では露出の高い服装は控えましょう。
寺院に入る際は肌の露出を避け、ストールや上着で肩や膝を隠すのがマナーです。
仏像や仏塔の前では写真撮影のポーズにも注意(仏像に背を向けて写真を撮るのは禁止されています)。
敬虔な仏教徒が多い国なので、寺院内で騒いだりお供え物にうっかり触れたりしないようにしてください。
そうした行為は現地の人から見ると非常に無礼になってしまいます。
また一般的な街中でも、超ミニスカートや胸の谷間が大きく開いた服は目立ってしまいます。避けた方が自分のためです。
暑いのでTシャツ短パンになりがちですが、膝丈程度のズボンやスカート、ゆったりした上着などが望ましいでしょう。
露出を控えることで、余計な視線やトラブルをかなり回避できます。
一方で海辺のリゾートや欧米人観光客が集まる場所では比較的ラフな格好でも大丈夫です。
ビーチでは水着もOKですが、街中をビキニ姿で歩くようなことはNGです。
リゾートと公共の場で服装を使い分け、現地の習慣に敬意を払うことが、安全につながると心得ましょう。
現地の「優しさ」を享受しつつも警戒を忘れずに
スリランカの人々は本当に親切でフレンドリーです。観光客にもよく話しかけてくれますし、道に迷っていれば助けてくれることも多いです。
旅先で地元の人との交流は醍醐味でもありますから、ぜひ楽しんでください。
ただし先述の通り、中には悪意や下心を持つ人も混ざっている現実もあります。
「親切だから大丈夫」と油断せず、適度な距離感を保つことが安全に旅をする最大のポイントです。
例えば、「明日お祭りがあるから一緒に行こう」と急に誘われたり、「家族が病気でお金が必要だ」と哀れみを引こうとする人もいます。
こうした場合、その場で断る勇気も必要です。特に女性の場合は、軽い気持ちでついて行った結果身体に危害が及ぶケースもありえます。
基本的に初対面の人を簡単に信じない、自分の身は自分で守る意識を持って行動しましょう。
データで見るスリランカの治安と比較
では数字の面から、スリランカの治安を客観的に見てみましょう。日本や他国との比較も交えて、治安レベルを把握します。
指標・データ | スリランカ | 参考:日本 |
---|---|---|
海外渡航危険情報(日本外務省) | 全土レベル1(十分注意) | ―(渡航先ではない) |
米国渡航勧告(米国務省) | レベル2(要警戒) | ― |
世界平和度指数GPIランク(2023年) | 89位(163か国中) | 10位(163か国中) |
意図的殺人発生率(最新年) | 約3.4件/10万人(2019年) | 約0.3件/10万人(2013年) |
観光客数(2019年) | 約191万人 ※ | 約3188万人※ |
※スリランカ観光客数は2019年(同年4月テロの影響で前年比18%減)、日本の訪日観光客数も2019年(日本政府観光局統計より)。
ご覧のように、スリランカの治安指標は総じて「そこそこ安全だが日本ほどではない」レベルです。
海外安全情報の危険度は最低ランクですし、世界的な平和指数でも下位ではありません。
ただ、日本と比べると犯罪率は高いため、日本にいるのと同じ感覚でいると危ないこともあります。
また上表のように、米国の渡航勧告ではスリランカは「レベル2:より警戒が必要」とされています(政治的不安やテロの可能性に言及)。
各国で評価が分かれるのは、治安情勢が一概に測れないからですが、「十分注意していれば旅行自体は問題ない」という点では共通しています。
女性が安心して旅を楽しむための安全対策
最後に、女性旅行者がスリランカを安心して満喫するための実践的なアドバイスをまとめます。
最新情報のチェック:渡航前に外務省海外安全ホームページや現地大使館情報を確認しましょう。現地で大きなデモ予定がないか、危険な地域がどこか把握しておくと安心です。
保険・連絡手段の確保:海外旅行保険には必ず加入し、スマホは現地SIMやポケットWi-Fiで通信可能に。緊急時にすぐ連絡できる体制を整えておきます。
服装と持ち物:露出を抑えた服装で現地の文化に溶け込みましょう。貴重品は分散し、大金は持ち歩かないこと。バックパックより前掛けのバッグが安全です。
移動は慎重に:夜間の一人歩きは避け、タクシーや信頼できるドライバーを利用。トゥクトゥクは配車アプリを使い、乗車前にナンバーや運転手を記録しておきます。
人付き合いの距離感:フレンドリーな誘いも用心深く対応しましょう。知らない人について行かない、飲み物や食べ物の提供は断る勇気を。困ったら周囲の現地女性や家族連れに助けを求めても良いでしょう。
緊急時の対応:万が一トラブルに巻き込まれたら、大声で助けを求めたり近くの店に飛び込むなどして安全を確保してください。観光警察や日本大使館への連絡先もメモしておくと心強いです。
まとめ
スリランカは南アジアの中でも比較的治安が良く、親切な人々に恵まれた素敵な国です。
ただし日本と比べれば危険は存在し、女性旅行者ならではの注意点も多くあります。本記事で挙げたポイントを押さえておけば、過度に心配する必要はありません。
実際に多くの女性がスリランカへの一人旅やグループ旅行を楽しんでおり、「また行きたい!」と魅了されています。
最後に要点を箇条書きで振り返り、安心して旅立てるよう締めくくりましょう。
- 基本治安:政治的混乱は沈静化しつつあり、凶悪犯罪も少ない。一方で観光客を狙うスリ・詐欺は発生している。
- 女性への配慮:外国人女性への視線や話しかけは日常茶飯事。親切な場合が多いが、中には下心のある人もいるため毅然と対応する。
- 性被害の警戒:痴漢や性的ハラスメントは時間場所を問わず起こり得る。公共交通やトゥクトゥク利用時は特に注意し、嫌な状況からは即離れる。
- 夜間と移動:夜の一人歩きは避ける。移動は信頼できる手段を使い、行き先は事前共有しておく。
- 服装と文化:露出の少ない服装で、宗教施設ではマナーを守る。現地の文化や習慣へのリスペクトが安全にもつながる。
- 備えあれば憂いなし:渡航前の情報収集や保険加入、緊急連絡先の準備を怠らず、いざという時落ち着いて対処できるようにする。
スリランカでの旅は、美しい自然と文化、人々との出会いがきっとあなたにかけがえのない思い出を与えてくれるでしょう。
しっかりと安全対策をとった上で、ぜひ思い切り旅を楽しんできてください。あなたのスリランカ旅行が安全で楽しいものになりますように!