スリランカは「インド洋の真珠」と称される南アジアの島国。
インド亜大陸のすぐ下、赤道に近い位置にあり、面積は約6.6万平方キロメートルで北海道の約8割ほどの大きさです。
人口は約2,200万人で、その多数が仏教徒(約70%)のシンハラ人です。
ほかにヒンドゥー教徒のタミル人やイスラム教徒、キリスト教徒も暮らす多民族国家で、公用語はシンハラ語とタミル語、英語も広く通じます。
首都はスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテですが、最大の都市は旧都のコロンボで、政治・経済の中心となっています。
豊かな自然と文化に彩られた観光地。
熱帯のスリランカは高原から海岸まで変化に富む自然景観を持ち、世界遺産に登録された歴史遺産や国立公園が点在しています。
古都の遺跡群や神秘的な岩の要塞、紅茶の茶畑と雄大な高山、美しいビーチとサンゴ礁まで、狭い国土に見どころがぎゅっと詰まった魅力的な旅行先です。
紅茶の名産地としても知られ、日本でも「セイロンティー」のブランドで親しまれる良質な紅茶は必飲です。
食文化もバラエティ豊かで、スパイスの効いたカレーや新鮮なシーフードなどグルメも旅の大きな楽しみになるでしょう。
→スリランカの8個の世界遺産を徹底解説!必見の観光名所を一挙に紹介する。
仏教国ならではの穏やかな国民性。人口の7割以上が上座部仏教を信仰するスリランカでは、人々は穏やかで親切と言われます。
実際、初対面でも笑顔で挨拶し助け合う精神が根付いており、そのホスピタリティは訪れる旅行者にも感じられるはずです。
毎月満月の日(ポヤデー)が全国的な祝日になるなど仏教文化が日常に息づいており、寺院を訪れれば敬虔に祈る人々の姿に触れることができます。
なお満月の日は宗教上の理由で全国的に酒類販売が禁止されるため、お酒好きの旅行者は注意しましょう(ホテルのバーもクローズする場合があります)。
日本とも意外な縁が深い国。
スリランカは第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和会議(1951年)で、日本の賠償請求放棄を提唱し日本復興を後押ししたことで知られています。
スリランカ代表のジャヤワルダナ氏は仏陀の言葉「憎悪は憎悪によって止むことはなく、愛によってのみ止む」を引用し、戦勝国に寛容を訴えました。
この歴史的な演説により日本は経済的負担を免れ、その後の奇跡的復興へと歩み出せたのです。
このような経緯から、日本とスリランカは古くから友好関係にあります。
現在でも日本からのODA(政府開発援助)や企業進出が盛んで、コロンボ市内には日本語の看板を掲げる店や日本車も多く見かけます。
両国の絆を感じながら旅をすると、また特別な思い出になることでしょう。
以下では、スリランカの基本情報から主要観光スポット、気候やベストシーズン、治安・衛生事情、日本からのアクセス方法、現地での過ごし方のコツ、モデルコースまで、旅行前に知っておきたいポイントを網羅して詳しく解説します。
地理と基本情報(場所・気候・季節)
南国の島国スリランカはどこにある?
スリランカはインド亜大陸の南東沖合い、インド洋に浮かぶ島国です。
北側のポーク海峡とマンナール湾を隔ててインドと近接し、南西にはモルディブと海上国境を接しています。
赤道にほど近い熱帯地域に位置し、年間を通じて高温多湿の気候です。
ただし中央部には標高2,000m級の山岳地帯があり、この高原地帯を境にしてモンスーン(季節風)による雨季が地域ごとに異なるのが特徴です。
具体的には、5月~9月頃は南西モンスーンの影響で南西部(コロンボやガalleなど西~南海岸)が雨季となる一方、北東部や東海岸は乾季にあたります。
逆に10月~翌1月頃は北東モンスーンにより北部・東部が雨季、南西部は乾季になります。
したがって「いつ行っても国内のどこかはベストシーズン」とも言われ、季節を選ばず旅行計画が立てやすいのが嬉しい点です。
ベストシーズンはいつ?
上記の気候特性を踏まえると、一般的には全国的に天気が安定する12月~3月頃がベストシーズンとされています。
日本の冬~春休みにあたる時期で、多くの観光客が訪れます。特に南部や西海岸のビーチリゾートは乾季に入り、快晴の日が多く海を満喫できます。
ただしこの時期は人気シーズンのため観光地やホテルが混み合う点には注意が必要です。
一方、東海岸のビーチを狙うなら5月~9月が乾季でおすすめです(この時期、南西部は雨が多い)。
山間部の高原地帯は年間を通じて比較的涼しく、朝晩は冷え込むこともあります。
雨季でも一日中土砂降りになることは稀で、スコール的な強い雨が数時間降っては止むパターンが多いです。
したがって雨季に当たってしまっても、折りたたみ傘を持ち歩けば観光に支障はそれほど出ないでしょう。
モンスーン期には道路の冠水や鉄道の運休が発生することもあるので、天気予報のチェックと日程の余裕は持っておくに越したことはありません。
気温と服装の目安
平地の年間平均気温は26~28℃程度で真夏のような暑さが続きます。
特に3~4月は最も気温が上がり内陸では日中35℃を超えることもあります。
沿岸部は海風のおかげで多少過ごしやすいですが、それでも日差しは強烈なので日焼け止めや帽子、サングラスは必携です。
一方、中央高原の街ヌワラエリヤなど標高の高い場所では、朝晩は10℃台前半まで冷え込みます。
昼との寒暖差が大きいので、薄手の上着や長袖を用意すると安心です。
また寺院参拝時のために肌を隠すストールや羽織るものを持っておくと重宝します。
観光名所と世界遺産:見どころ満載のスリランカ
スリランカには8つのユネスコ世界遺産(6つの文化遺産、2つの自然遺産)があり、歴史好きから自然派まで楽しめるスポットが揃っています。
→スリランカの8個の世界遺産を徹底解説!必見の観光名所を一挙に紹介する。
ここでは主要な見どころをエリア別に紹介します。
文化三角地帯(中央〜北部内陸)
スリランカの古代王朝の都が置かれたエリアで、アヌラーダプラ、ポロンナルワ、シギリヤ、ダンブッラ、キャンディといった世界遺産が集中しています。
特に有名なのが空中宮殿とも称される「シギリヤ・ロック」です。
巨大な一枚岩の頂上に5世紀の王が築いた要塞跡があり、岩肌に描かれた美女のフレスコ画(シギリヤ・レディ)や獅子の形をした石段入口など見どころが豊富です。
朝一番に登頂すれば混雑を避けられ、岩山の上からジャングルに囲まれた絶景を独り占めできます。
キャンディは最後の王朝の都で、仏教の聖地「仏歯寺(ダラダーマーリガーワ寺院)」があります。
お釈迦様の歯を祀る寺院で、毎年夏にはペラヘラ祭という盛大な仏教行事が行われゾウの行進を見ることもできます。
アヌラーダプラとポロンナルワはそれぞれ王朝時代の都の遺跡群で、仏塔や宮殿跡が残り往時の繁栄を偲ばせます。
ダンブッラには黄金の仏像で有名な石窟寺院があり、無数の石仏と色鮮やかな壁画が洞窟内に描かれて必見です。
→ スリランカの歴史の始まり観光名所『アヌラーダプラ』の魅力を解説!行き方とやおすすめのホテルを含めて紹介する。
→ スリランカの世界遺産の一角『ポロンナルワ』の魅力を解説!古代首都の遺跡群を観光しよう。
南西海岸エリア
首都コロンボから車で2~3時間の場所には、オランダ統治時代の面影を残す港町ゴール(ガル)があります。
旧市街と要塞が世界遺産に指定されており、石畳の小道やオランダ風の建物が並ぶ街並みは南国にいながらヨーロッパの雰囲気。
おしゃれなカフェや雑貨店も多く散策が楽しいエリアです。ただしゴール自体は小さな町なので日帰り観光でも十分楽しめます。
ゴール周辺の海岸には、高い棒に腰掛けて魚を釣るスティルトフィッシャーマン(高足漁)と呼ばれる伝統漁を見ることができます。
近年は観光パフォーマンス化していますが、夕日をバックに浅瀬に杭を立てて釣り糸を垂らす姿は絵になり、スリランカを代表する光景の一つです。
波打ち際の杭の上に腰掛け、長い竿で魚を釣る独特のスタイルで知られています。
中央高原エリア(南部内陸)
スリランカ南中央部の山岳地帯は紅茶の名産地です。
「リトルイングランド」とも呼ばれる避暑地ヌワラエリヤには、丘陵一面に緑の茶畑が広がり爽やかな風景が楽しめます。
茶園を訪ねて製茶工場の見学や紅茶のテイスティングを体験するのも人気です。高原の町エラへはキャンディから続く鉄道で向かうのがおすすめ。
スリランカで一番の絶景ルートとも言われるエラ行きの山岳鉄道では、窓から手を伸ばせば触れそうな密林や谷間の茶畑を眺めながらのんびり旅情を味わえます。
エラ近郊にはアーチ型橋梁のナインアーチブリッジ(九つのアーチ橋)や小高いリトルアダムスピークなど写真映えスポットも点在。
早起きして行けば霧に煙る幻想的な景色に出会えるでしょう。
野生動物と自然公園
スリランカは大小たくさんの国立公園があり、野生動物の宝庫でもあります。
特に人気なのが南東部のヤーラ国立公園で、ジープサファリに参加すると野生の象やワニ、クジャク、シカの群れなどに高確率で遭遇できます。
運が良ければヒョウ(スリランカヒョウ)に出会えることも。乾季(6~9月頃)は水辺に動物が集まりやすく観察に適しています。
また、シギリヤ近郊のミンネリヤ国立公園では毎年8~9月頃に数百頭規模の野生ゾウが集まる「エレファント・ギャザリング」という現象が見られます。
象好きにはたまらない光景でしょう。このほか世界遺産のシンハラジャ森林保護区やスリランカ中央高原(ホートンプレインズ国立公園など)では貴重な熱帯雨林の生態系や高原の草原景観を楽しめ、バードウォッチングやトレッキングにも最適です。
ビーチリゾート
スリランカはサーフィンやマリンスポーツの穴場でもあります。
西海岸のリゾートベントタや南部のミリッサはビーチも設備も整い初心者から楽しめるエリアです。
ミリッサでは12~4月頃にホエールウォッチング(クジラ海洋観察)ツアーも催行されており、シロナガスクジラやイルカが見られることで有名です。
東海岸側ではトリンコマリーが人気で、5~9月の乾季には透き通った海と白砂のビーチが広がりリゾートホテルも続々オープンしています。
シュノーケリングやダイビングも盛んで、美しいサンゴ礁や熱帯魚の群れと出会えるでしょう。
首都コロンボから手軽に行けるビーチとしては、空港に近いネゴンボや電車で南に1時間ほどのマウントラビニアなどがあります。
旅程に余裕があれば、ぜひ1日は青い海と南国の太陽を堪能してみてください。
スリランカの紅茶とグルメ:食もお土産も大充実
スリランカの紅茶
「セイロンティー」の産地を味わい尽くす。世界有数の紅茶生産国スリランカでは、美味しい紅茶が安価に楽しめます。
イギリス植民地時代から続く紅茶産業は今なお盛んで、標高や地域ごとに風味の異なるセイロンティーが作られています。
高地のウバ、ディンブラ、ヌワラエリヤ、中低地のキャンディ、ルフナ、さらに希少な白茶シルバーティップスなど種類も様々。
ぜひ現地でお気に入りの一杯を見つけてみましょう。茶畑観光をした際は、茶摘み体験や工場直売のフレッシュな茶葉購入もおすすめです。
お土産用には定番のリーフティー缶の他に、ティーバッグやフレーバーティー、スパイス入りのチャイ用ブレンドも喜ばれます。
スリランカ料理を堪能しよう
「カレーばかり?」いえいえ、スリランカの食卓はとても多彩です。
主食は米で、カレーも野菜や豆、魚介、肉など素材ごとに複数のおかずカレーを少しずつ盛り合わせて食べるスタイル(ライス&カリー)が一般的。
南インドに近いためインド風の影響もありますが、スリランカ独自のメニューも豊富です。
例えば細い麺状の米粉生地を蒸したストリングホッパー、米粉のクレープに卵を落として焼くエッグホッパー、刻んだロティ(薄焼きパン)と野菜や肉を鉄板で豪快に炒め合わせるコットゥロティなど、ユニークなローカルフードはぜひ試してみたいもの。
どれもスパイスが効いていますが辛さはお店で調節してもらえる場合もあります。海沿いでは新鮮なエビやカニを使ったシーフードカレーも絶品です。
意外なところでは、紅茶生産の副産物であるシロップ漬け紅茶葉のティーピクルスなどもあり、お茶請けや箸休めに供されます。
グルメ情報あれこれ
物価とレストラン事情。スリランカの物価は日本の約1/3~1/4程度といわれ、外食もリーズナブルです。地元食堂でのカレー定食は一食あたり約600~1,200スリランカルピー(約¥240~480)ほどと格安で、味も素朴で美味しいものが多いです。観光客向けの中級レストランでも1人前2,000~3,500ルピー(約¥800~1,400)程度で、本格スパイスカレーから西洋料理まで楽しめます。ただし都市部を除き洋食のクオリティは総じて低めで割高なことが多いので、滞在中はぜひ現地のローカルフードを積極的に味わってみてください。南国フルーツもマンゴー、パイナップル、バナナ、ココナッツなど種類豊富で安いので、屋台のフレッシュジュースやカットフルーツも試す価値ありです。
ショッピング&お土産はユニークなものが手に入ります。
紅茶はマストバイですが、他にもスパイス、宝石、雑貨では木彫りの仮面(コロニアル様式と伝統様式)、バティック染めの衣料品、アーユルヴェーダ石鹸やオイル、美しい象のモチーフ小物などがおすすめです。
コロンボ市内には近代的なショッピングモールから地元市場まで揃い、例えば「オデール(ODEL)」「モール・オブ・コロンボ」などではお土産探しにも便利です。
値札のない市場や個人店では多少の値引き交渉も楽しんでみましょう。
治安・衛生事情と安全対策
基本的な治安は安定、でも油断は禁物。スリランカは内戦終結後、大規模なテロも発生せず治安は大幅に改善しました。
ただし近年でも政治経済の混乱に伴う抗議デモが発生することがあります。
2022年には経済危機による燃料や生活必需品不足を背景に政府への抗議活動が各地で頻発しました。
2023年以降は沈静化しましたが、今後も増税や政策に対する突発的なデモが起こる可能性はあります。
渡航中は現地ニュースに目を配り、大規模集会やデモには近づかないようにしましょう。
また2019年4月にはコロンボなど複数都市で同時爆破テロ事件が発生しましたが、現在は組織的テロのリスクは低いと見做されています。
とはいえ観光客が多く集まる場所や宗教施設では引き続き警戒を怠らず、不審な状況に遭遇したら速やかに離れることが大切です。
日常犯罪としてはスリ(ひったくり)や置き引き、詐欺が報告されています。
特に観光客狙いの手口としては、タクシー(三輪タクシーのトゥクトゥク)で遠回り料金をふっかけられたり、ガイドを名乗る人物に高額なチップを要求されたり、宝石店に連れて行かれてしつこく買わされそうになるケースなどが見られます。
対応策として、トゥクトゥクは乗車前に料金交渉をするかメーター付きの車両を選ぶ、知らない人について行かない、高価な装飾品は身に付けない、といった基本を守りましょう。また女性旅行者に対する性的嫌がらせや性犯罪の事例もゼロではありません。
肌の露出を控えた服装を心がけ、夜間の一人歩きは避け、現地で知り合った男性でも安易に信用しないなど自己防衛に努めてください。
衛生面では水と虫に注意。スリランカでは上下水道が日本ほど整っておらず、水道水はそのまま飲まないでください。
ミネラルウォーターを購入するか、ホテル備え付けの湯沸かしポットでしっかり沸騰させましょう。
氷入りの飲み物もリスクがあるため避けるのが無難です。屋台料理も基本的には火が通っていれば問題ありませんが、お腹が弱い人は避けた方が安心です。
首都では日本人の味覚に合う日本食レストランも増えていますが、せっかくならローカルフードに挑戦してみるのがおすすめです。
蚊が媒介するデング熱が年中発生しており、渡航時期によっては流行することがあります。
予防接種は無いため、虫除けスプレーの使用や長袖長ズボン着用、蚊取り線香の携行などで刺されない工夫をしてください。
狂犬病も犬やサルから感染する恐れがあるため、野良犬や野生のサルには絶対に手を出さないことが鉄則です。
万一噛まれたら直ちに大量の水で傷口を洗い、医療機関でワクチンを受けてください。
医療機関と衛生事情についてです。主要都市には私立の総合病院があり、医師もまずまず優秀と言われています。
ただし地方では医療水準が十分でないため、持病のある方は日本から常備薬を持参し、旅行保険にも必ず加入しましょう。
トイレは街中では清潔さに欠ける場合があります。
観光地の公衆トイレでは紙がないことも多いので、ポケットティッシュやウェットティッシュを持ち歩き、手洗い後の速乾タオルや消毒ジェルもあると安心です。
自然災害にも留意してください。近年スリランカではモンスーン期の大雨による洪水や土砂災害が毎年のように発生しています。
特に5~6月と10~11月頃は集中豪雨のシーズンで、地域によっては交通網に影響が出る場合もあります。
滞在中は天気予報をこまめにチェックし、危険な状況が予測される場合は予定を変更する柔軟さを持ちましょう。
また海沿いではまれに津波警報が出ることもあります。ホテルの避難経路を確認し、緊急時には高台に避難するようにしてください。
日本からのアクセスとビザ情報
日本からスリランカへの行き方
最も一般的なのは航空機での渡航です。
日本からスリランカへの直行便は2025年現在、成田空港~コロンボ(バンダラナイケ国際空港*間でスリランカ航空が週数便運航しています(所要約9時間)。
→ 日本からスリランカへの行き方完全ガイド :飛行機の直行便・乗継便・旅費まで徹底解説!
他にもシンガポール航空やマレーシア航空などが乗継便を多数出しており、経由地でのトランジットを含めて所要時間はおおむね12~15時間程度です。
関西や福岡など地方発の場合も、アジアのハブ空港で乗り継げば1回乗継でコロンボに到着できます。
航空券代は時期によりますが往復で7~10万円前後が目安です(LCC利用や早期予約でもっと安くなることもあります)。
ビザ(査証)の取得について
スリランカに観光目的で入国する日本人はビザ(ETA: Electronic Travel Authorization)の事前取得が必要です。
オンラインで申請・支払いを行い、承認レターを取得してから渡航します(観光シングルエントリー30日間滞在で費用は約$50)。
公式サイトの日本語案内に従えば手続きは難しくありません。
かつては空港でのアライバルビザ取得も可能でしたが、最新情報ではオンラインETA取得が推奨されています。
なおパスポートの残存有効期間が6ヶ月以上必要ですので事前に確認しましょう。
2024年9月には一時運用されていた新eVISAシステムが停止され、従来のETAシステムに戻る変更がありました。
常に最新のビザ情報を外務省や在日スリランカ大使館のサイトで確認してください。
ETA取得済みの場合でも、まれにシステム不具合で空港入国審査時に確認できないケースが報告されています。
その際は印刷したETA承認通知を提示するか、その場で再申請すれば入国できますので落ち着いて対応しましょう。
入出国カードと税関申告
スリランカでは入国時に入出国カードの提出が必要でしたが、現在この紙のカードは一時停止となっており提出不要です。
税関申告は口頭で行われることが多く申告書フォームはありません。
持ち込み禁止品(生鮮食品や大量の現金など)以外であれば特に引っかかることはないでしょう。
空港から市内への移動。コロンボ・バンダラナイケ国際空港は市中心部から約30km離れています。
移動手段としてはタクシー(所要約1時間、料金約6,000~9,000ルピー)か、エアポートバス(エアポートエクスプレス)があります。
青い大型バスが空港発着しており、30分おき運行でコロンボ市内要所まで約1時間、料金はたったの150~500ルピーと格安です。
ただ、下の項目でもお伝えしますが事前にタクシーチャーターを手配しておくのが最もおすすめです。
国内の移動手段
スリランカを効率よく、かつ安全に周遊したいならタクシーチャーターが最有力です。
鉄道や長距離バスは運賃が安いものの、ダイヤの遅延や乗換えの手間、混雑による体力消耗が避けられません。
特に世界遺産が点在する文化三角地帯や南部ビーチへは公共交通での乗り継ぎが多く、1日で移動するだけで丸一日潰れてしまうこともあります。
チャーターなら日本語または英語対応のドライバーがホテル玄関から目的地までドアツードアで送り届けてくれるため、貴重な観光時間を最大化できます。
料金は1日あたり1台1万〜1万5千円程度が相場で、複数人ならコストパフォーマンスも高く、冷房完備の快適車内で荷物管理も安心。
夜間の移動や雨季の急な天候悪化時でも安全が確保されやすく、女性の一人旅や家族連れにも心強い選択肢です。
また、トゥクトゥクは短距離向きで運賃交渉が煩雑、運転マナーも荒いケースがあるため長距離ではストレス要因になりがち。
チャーター車なら政府認可の観光用ナンバーで保険も完備、Wi-Fiやチャイルドシートが用意できる会社も増えています。
オンラインで事前見積もりを取り、口コミ評価の高いドライバーを指名すれば、道路事情の悪い区間でも安心して景色を楽しめます。
筆者がスリランカ旅行の時に活用したスリランカタクシーサービスは以下でお伝えしています。
現地での過ごし方アドバイス(通信・マナー・お金など)
通信環境とSIMカード事情
主要なホテルやカフェではWi-Fiが利用できますが、地方では繋がりにくい場所もあります。
現地で安価にインターネットを使うならプリペイド式のSIMカード購入がおすすめです。
空港の到着ロビーや街中の携帯ショップで旅行者向けデータ通信SIMが手に入ります。
代表的な通信会社はDialogやMobitelで、数GBのデータプラン付きSIMが数百円程度からあります。
購入時にパスポートを提示すればその場で開通し、すぐにスマホが使えます。
日本の電話番号へのSMS受信を残したい場合は、SIMフリー端末であれば日本のSIMと現地SIMのデュアルスタンバイも可能です。
短期旅行であれば、日本の携帯会社の国際ローミング定額を利用する手もありますが割高になるので、旅慣れた方は現地SIMに挑戦してみましょう。
電源・電圧とコンセント形状
スリランカの電圧は230V・50Hzで、日本の電化製品を使うには変圧が必要です(スマホやPC充電器は対応が多いですが念のため要確認)。
コンセントのプラグ形状はイギリス式のBFタイプ(角3ピン)やインド式のB3タイプ(丸3ピン)が主流です。
ただしホテルによってはユニバーサル対応のコンセントも増えてきました。心配な場合はBF/B3両対応の変換プラグを持参すると安心です。
宗教施設でのマナー
仏教国であるスリランカでは寺院を訪れる機会も多いでしょう。その際は服装に注意が必要です。
男女とも肌の露出を控え、肩と膝が隠れる服を着用してください。短パンやタンクトップはNGです。
大きなストールを持参すれば羽織として使えて便利です。また寺院では靴だけでなく靴下も脱いで裸足で参拝します。
石畳が熱い日中はサンダルを履いて行き、入口でさっと脱げるようにすると良いでしょう。
仏像や僧侶に対しては敬意を払い、写真撮影も許可されている場所のみで行ってください。仏像に背を向けての自撮りなどもマナー違反とされます。
ヒンドゥー教の寺院(コヴィル)では入口で頭に聖水をかけてもらう習慣があり、こちらも露出控えめの服装が無難です。
イスラム教のモスクやキリスト教の教会も内部見学できますが、いずれも肌を出さないことが求められます。
宗教的儀式に遭遇した際は、邪魔にならないよう静かに見守りましょう。
チップの習慣について
スリランカは英国の影響でチップ文化があります。
レストランでは基本的にサービス料10%が加算されていますが、それ以外でもホテルのポーターやルーム清掃、ガイド・ドライバーへの謝礼は渡すのが一般的です。
目安として、ポーターや枕銭は100~200ルピー程度、1日専属のドライバーには1日あたり約10ドル相当(3,000ルピー前後)、ガイドには15ドル相当(4,500ルピー前後)を最後に手渡すと良いでしょう。もちろんサービスに満足した場合で構いませんが、良い旅の思い出には気持ちのチップも大切です。
通貨と両替・支払い事情
通貨単位はスリランカルピー(略号LKR)です。紙幣は5,000~20ルピーまであり、硬貨は10ルピー以下が流通します。
日本円からルピーへの両替は日本国内の銀行では取り扱いがほぼ無いため、到着後に空港や市中の銀行で両替しましょう。
空港の銀行カウンターは深夜便到着時でも開いておりレートも市中と大差ありません。複数社のレートを見比べてから換金すると良いでしょう。
主要通貨(米ドル、ユーロ、円、ポンド)はそのまま両替可能です。
レートは日々変動するので、スリランカ中央銀行のサイト等で最新レートを確認しておくと安心です。
クレジットカードは都市部のホテル・レストラン・土産物店などで利用できます。
ただしインフラ事情により通信エラーで使えないこともあるため、カード頼みにはせずある程度の現金を常時携帯してください。
ATMはコロンボや主要観光地に設置があり、海外発行カードでも引き出せます。
VISAやMaster対応のATMを探し、必要に応じて現地通貨を調達しましょう(その際手数料や上限額に注意)。
治安面では大金を持ち歩くのは避け、分散して管理するのが基本です。
モデルプラン:初めてのスリランカ8日間の旅
最後に、初めてスリランカを訪れる方向けに8日間程度のモデルコースを提案します(南西部~中央部周遊プラン)。
見どころを押さえつつも駆け足になり過ぎないよう工夫しました。
日程 | 行程・訪問地 | 内容・ハイライト |
---|---|---|
1日目 | 日本発 ⇒ コロンボ着 | 午後:コロンボ市内観光(ガンガラーマ寺院、旧市街フォート地区など)。コロンボ泊。 |
2日目 | コロンボ ⇒ シギリヤ周辺 | 朝:特急バスでシギリヤ方面へ(約5時間)。午後:シギリヤ・ロック登頂観光。ジャングルの中のロッジに宿泊。 |
3日目 | シギリヤ ⇒ キャンディ | 朝:世界遺産ダンブッラ石窟寺院を見学。午後:車でキャンディへ移動(約2時間)。途中スパイスガーデン立寄り。夕方:キャンディ湖畔散策と仏歯寺でのお祈り見学。キャンディ泊。 |
4日目 | キャンディ ⇒ ヌワラエリヤ | 午前:紅茶工場見学ツアーに参加(紅茶試飲)。午後:高原リゾートの街ヌワラエリヤへ車で移動(約3時間)。途中で茶畑フォトストップ。ヌワラエリヤでは英国調の町並みを散策。高原のホテル泊。 |
5日目 | ヌワラエリヤ ⇒ エラ ⇒ 南部ヤーラ周辺 | 早朝:ホートンプレインズ国立公園で高原トレッキング(世界の果て展望)。午前:紅茶列車でエラへ移動(約3時間半)。車窓からナインアーチ橋を望む。午後:エラ着後すぐ専用車で南東部ヤーラ国立公園へ(約4時間)。道中でウダワラウェ国立公園近辺を通過し野生ゾウに遭遇することも。ヤーラ周辺泊。 |
6日目 | ヤーラ国立公園 ⇒ 南海岸ビーチ | 早朝:ヤーラ国立公園でジープサファリ(野生動物を探す)。午前:ホテル帰着後チェックアウトし、車で南海岸へ西進(約3時間)。午後:ゴール旧市街観光(要塞からのインド洋ビューや雑貨店巡りを満喫)。夕刻:ビーチリゾートエリア(ウナワトゥナかベントタ)へ移動・宿泊。 |
7日目 | 南部ビーチ ⇒ コロンボ | 午前:海辺でのんびりフリータイム(オプションでマリンスポーツやアーユルヴェーダ体験)。午後:車または列車でコロンボへ移動(約2~3時間)。夜:コロンボ最後の買い物(お土産の紅茶やスパイスを購入)。コロンボ泊。 |
8日目 | コロンボ発 ⇒ 日本着 | 深夜便にてコロンボ発。翌朝日本着(機中泊扱い)。 |
※上記は一例です。
私の旅行記も参考にしてください!
→ モデルコースで巡るスリランカ旅行記:タクシーチャーターを利用して全8個の世界遺産を訪問する8泊9日の一人旅の過程をお伝えする!
女性の方でアーユルヴェーダを目的にスリランカ旅行を計画されている方は以下の旅行記も参考にしてください。
→ 女性の一人旅!スリランカのアーユルヴェーダをホテルで満喫する4泊5日ツアーのモデルコースを体験談を元に解説!
まとめ
スリランカがどんな国か、概要から旅の実用情報まで駆け足でご紹介しました。
紛争を乗り越えた歴史を持ちながら、人々は笑顔で温かく、訪れる者を歓迎してくれるスリランカ。
豊かな自然と深い文化遺産、美味しい紅茶と食事に癒やされながら過ごす時間は、きっとあなたの心に残るでしょう。
日本からは少し距離がありますが、その分ひとたび旅立てば非日常の冒険が待っています。
ぜひ本記事を参考に準備を整えて、「インド洋の真珠」スリランカで素敵な旅の思い出を作ってきてください。楽しい旅を!